まず、事業で残せるお金と返済の予定を比べます。毎月の入金と支払いも並べ、お金が足りるか確かめます。

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返済に追われる毎日から、次を選べる経営へ。自動車整備会社の借り換え事例。

イラストはイメージです。

売上はある。仕事もある。それでも、銀行への返済が終わると手元にお金が残らない。

「先代から引き継いだ借入を、そのまま返し続けている」という社長もいらっしゃいます。

「来月の支払いは大丈夫だろうか」と考え始めると、仕事に集中できなくなる。追加で借りれば、ひとまず安心できるかもしれない。でも、その返済が増えたらどうなるのか。

こうしたとき、まず確認したいのは、会社が生み出す現金と、返済の予定が合っているかです。

自動車整備会社を支援した事例です。年間の元金返済額を、2,500万円から300万円へ見直しました。元金返済額とは、利息を除いた、借りたお金の返済額です。相談会から借り換え実行までの期間は2か月でした。

最初に見るのは、「この返済を続けると、手元にいくら残るか」

借り換えを考える前に、まず借入一覧を作ります。今後10年までの返済予定を、年間と月間の両方で見えるようにします。

年間の返済総額が分かっていても、資金が足りなくなる月を見落としては意味がありません。どの月に、どの借入の返済が重なるのか。今の返済がいつまで続くのかを整理します。

次に、商売で入ったお金から、支払いや設備の購入代金を引いて、いくら残るかを見ます。ここでは、借りたお金の元金を返す前に残る額を「事業で残せるお金」と呼びます。

利益だけでは、返済後にお金が残るかは分かりません。事業で残せるお金と、元金の返済額を比べます。さらに、いつ入金され、いつ支払うかを並べます。利息や税金も含め、毎月の支払いができるかを確かめます。

当社では、元金の返済額を「事業で残せるお金」の範囲に収めることを目指します。難しいときも、まずその2倍以内に減らせないかを考えます。ただし、2倍までなら安心という意味ではありません。

例えば、事業で残せるお金が年間1,000万円、元金の返済が年間2,000万円なら、1,000万円足りません。その分は、すでに持っているお金などで補う必要があります。ほかのお金の動きがなければ、手元の現金・預金はその分減ります。

だからこそ、「今年は払える」で終わらせず、来年以降のお金の動きも確かめます。事業で残せるお金がゼロ以下なら、先に、お金が足りなくなる理由と商売の改善を考えます。

返済後に現金が残らない会社で、年間元金返済を2,200万円軽減(自動車整備業)

今回の整備会社では、長期借入のうち1億円について、借り方を見直しました。設備投資に対応する長期借入は残しました。

比較項目見直し前見直し後
年間元金返済額2,500万円300万円
見直した借入長期借入1億円借り方を見直し
残した長期借入設備投資分年間元金返済300万円

年間の元金返済額は、2,200万円減りました。これは借金が2,200万円減った、あるいは利益が増えたという意味ではありません。借り方を見直すことで、毎年の決まった元金返済による現金流出を抑えた結果です。利息は別途発生します。

設備投資分については、設備が将来生み出す現金と返済期間を対応させる考え方で、長期借入を残しました。設備であれば何でも長期借入でよいのではなく、その投資でどれだけ現金を生み出せるかも確認します。

見直しによって、毎年の決まった元金返済による現金流出を抑え、必要な支払いと事業に使うお金を考える余地が生まれました。

社長にとって大きいのは、単に返済額が下がることだけではありません。口座残高と支払いを見ながら、自分で資金の動きを判断できるようになることです。返済への不安に占められていた時間を、事業の次の一手を考える時間へ変えていきます。

なお、借入には契約条件があり、見直しには金融機関の審査があります。借入そのものがなくなるわけではなく、すべての会社で同じ見直しができるわけでもありません。

銀行には、会社がどう利益を生み、これからどう進むかを「判断できる形」で示す

この見直しに向けて取り組んだのが、事業計画の作成です。

銀行の担当者は、融資の専門家であっても、その会社の業界や現場をすべて知っているわけではありません。社長にとって当たり前の強みも、言葉と数字にしなければ伝わらないことがあります。

そこで、次の内容を一つの計画につなげます。

  • 何を売り、どう利益を出しているかを、事実と数字で説明する
  • これから3〜5年で、お客様の求めるものや業界がどう変わるかを、調べた情報とともに示す
  • その中で何を売り、どう利益を出すかを計画にまとめる
  • 計画を資金繰り表につなぎ、必要資金と返済の見通しを示す
  • 誰が、いつ、何をするかを行動計画にする

当社では、こうした資料が約100枚に及ぶこともあります。ただ、枚数をそろえることが目的ではありません。業界に詳しくない人でも、会社の現状と計画を理解し、判断できることが大切です。

「返済が厳しいので減らしてほしい」という希望に、商売の状況を説明する数字を添えます。商売の状況とお金の動きを示し、借り方を見直す理由を説明します。その材料をもとに、実際の銀行交渉へ進みます。

借り換えの実行後も、3か月ごとに確認する

借り換えで支払いに余裕ができても、計画が実行されなければ、また資金繰りが苦しくなる可能性があります。

そのため、実行後も3か月ごとに報告とその後の確認を行います。計画した行動が進んでいるか。利益と手元のお金は、考えていたとおりか。差が出ているなら、何を修正するかを確認します。

今回の相談会から借り換えまでの2か月という期間は、この会社の実績です。必要な準備や金融機関の審査により、期間や実現できる条件は異なります。

御社の状況を、
こうしたところから確かめます。

  • 借入が何本・何行あり、いつまで返済が続くかを一覧で見ていない。
  • 年間の元金返済が、事業で残せるお金を上回っていないかを確かめたことがない。
  • 返済のために、また借りることがある。
  • 引き継いだ借入の条件を、自分の代になってから見直していない。

返済の見直しを、
選択肢のあるうちに考える。

返済の見直しは、資金が本当に足りなくなる前のほうが、選べる方法が多くあります。

銀行は、決算書と、返済の計画を説明できる材料で判断します。今の事業の数字と今後の資金の見通しを並べた資料は、決算を待たずに今から作れます。

株式会社Issue-Consulting(イシューコンサルティング)/代表 上野貴司(中小企業診断士)/顧問CFO/埼玉県入間市

上野 貴司
株式会社 Issue-Consulting 代表取締役/中小企業診断士

代表の支援経験に基づく匿名事例です。金額は元金返済額、将来の数字は見込みとして記載しています。